2015年3月に税務署へ開業届と青色申告承認申請書を提出しました。
承認申請書というからには結果が来るのかと思っていましたが
今のところ何も来ていません。
12月31日までに却下と言われなければ承認されたことになるらしいです。
というわけで、承認される前提で複式簿記の帳簿を付けています。
簿記の知識はあったものの、実際に帳簿をつけるのははじめてです。
事業主借・事業主貸という勘定科目があることを知って目から鱗でした。
簿記1級の知識がようやく活きた
わたしは日商簿記1級を持っているにもかかわらず
簿記を活かした仕事をしたことがありません。
初の実践が自分の個人事業主としての記帳になるとは
思ってもみませんでした。
損益計算書や貸借対照表は簿記3級でも勉強する基礎中の基礎です。
自分のものができあがったときにはちょっと感動しました。
自己流のエクセル帳簿
帳簿はエクセルで付けています。
数十万円の収入のために会計ソフトを買うまでもないと思ったからです。
無料のものもいくつか見てみましたが、
自分でひな形を作ったほうが速いと思いました。
取引数もほとんどありませんからね。
1年分の仕訳がA4用紙2ページで収まりました。
事業規模が大きくなったら会計ソフトのお世話になるかもしれません。
やよいの青色申告オンライン
会計ソフトを使うのであれば、やよいの青色申告オンラインがよいでしょう。
多くのフリーランスが使っているので安心感があります。
はじめての確定申告という人は利用してみてはいかがでしょうか?
税務署の資料に目から鱗
エクセルで自己流の帳簿を作っていたところ、
税務署から「記帳指導の御案内」というお手紙が届きました。
記帳の仕方を教える授業が無料で受けられるとのこと。
あいにく小さい子どもがいるので行けない旨と、
「資料だけでもいただけませんか」という旨を書いて返信しました。
2日後には関連資料が送られてきました。
とても参考になったのが「青色申告者のための貸借対照表作成の手引き」です。
これだけでももらっておく価値があります。
中でも「元入金」「事業主貸」「事業主借」の知識は必須です。
元入金
たとえばわたしが事業に使っている口座は
楽天銀行の口座です。
ことしの1月1日の時点で、
すでに楽天銀行口座にはお金が入っています。
さらに昨年からキャリーオーバーしている
クラウドソーシングやアフィリエイトの報酬があります。
この金額をどうやって表示したらいいのか疑問だったのですが、
「元入金」とすればいいんですね。
年初に以下のような仕分けをします。
(例)
普通預金(楽天銀行)20,000 / 元入金 30,000
売掛金(ランサーズ)10,000
事業主貸・事業主借
帳簿をつけるときに疑問だったのが、
・収入を自分のお小遣いにするときはどうしたらいいのか?
・自分の財布から事業に必要なものを買ったらどうしたらいいのか?
ということでした。
これは「事業主貸」「事業主借」を使えば解決することがわかりました。
事業主貸
事業用のお金を生活費とするときは「事業主貸」を使います。
売掛金から直接「事業主貸」にしても特に問題はありません。
(例)
事業主貸 8,000 / 売掛金 8,000 Googleアドセンス
事業主借
事業主借はこれとは逆に、
プロバイダの費用を個人口座から払うなどの場面で使います。
(例)
通信費 3,000 / 事業主借 3,000 プロバイダ料金
元入金の計算
元入金は毎年変わります。
「青色申告者のための貸借対照表作成の手引き」によると
翌期首の元入金=
期末の元入金+青色申告特別控除前の所得金額+事業主借-事業主貸
というふうに計算します。
事業主貸・事業主借勘定
事業主貸・事業主借勘定について、もっと詳しく説明します。
事業用の口座は作るべき?
本来は事業用の口座やお財布を作るべきだと言われています。
たしかに事業用の口座があればその入出金履歴でお金の出入りが管理できます。
しかし、主婦のお小遣い程度なら必ずしも作る必要はない気がします。
一応わたしにとっては楽天銀行の口座が事業用になっています。
クラウドワークスやランサーズの報酬振込にかかる手数料が
楽天銀行100円、他の銀行は500円という違いがあったからです。
しかし楽天銀行のお金から事業とは関係ないものを買うことがあります。
楽天カードの口座を楽天銀行にしているので、普段の買い物にも使います。
また、A8.netはゆうちょ口座のほうが報酬振込の手数料が安いため、
楽天銀行よりもゆうちょ口座に振り込んでもらっています。
これは事業用口座ではありませんが、事業収入が入っていることになります。
以上の理由から、必ずしも楽天銀行が事業の専用口座になっているわけではありません。
売上があったときの仕訳
いずれの場合も、売り上げが立ったら以下のように仕訳します。
売掛金 10,000 / 売上 10,000
事業用の口座を作らない場合
普段使っている口座に振り込まれたら
事業主貸 10,000 / 売掛金 10,000
と仕訳します。
すでに事業主貸としたお金は何に使おうと自由です。
事業用の口座を作る場合
事業用の口座があるなら、振り込まれたときに
普通預金 10,000 / 売掛金 10,000
と仕訳します。
お金を自分のお小遣いとして使ったときに
事業主貸 10,000 / 普通預金 10,000
となるわけです。
家計から必要なものを買ったとき
仕事に必要な文房具などを買う際、
わざわざ楽天銀行からお金を下ろすのは面倒なので、
家計から買うことがあります。
その場合は
消耗品費 1,000 / 事業主借 1,000
というように、事業主借勘定を使います。
すべて事業主貸・事業主借でも大丈夫?
ネットで調べていたら、費用や収入の相手勘定を
全て事業主貸・事業主借にしているという話が見つかりました。
実際のところ収入と費用の額が一緒なら税額は一緒なので、
相手勘定がなんであろうと脱税などの違法行為ではないでしょう。
大事なのはそのルールを明確にして、ずっと続けることです。
ある年は普通預金が出てくるのに、
ある年は全て事業主貸では一貫性がありません。
実際に帳簿をつけてみた
クラウドワークス、ランサーズ、アフィリエイト、アドセンスによる売上の仕訳例を紹介します。
クラウドソーシング
クラウドワークスやランサーズでは手数料を2割引かれます。
手数料は雑費にするのが正しいみたいです。
売掛金 800 / 売上 1,000
雑費 200
というのが正しい書き方なのですが、
あまりに煩雑だというのが判ったので
売掛金 800 / 売上 800
と、手数料控除後の金額で付けることにしました。
税金をごまかすわけではないので問題ないでしょう。
大事なのはルールを統一することであって、
最初から手数料を引くと決めたらずっと続ける必要があります。
タスクは毎月1回まとめればいいとか、
振込額が確定してからでいいとか諸説ありますが、
数が少ないので1件ずつやっています。
プロジェクトやコンペの仕事も同様に付けていきます。
報酬が振り込まれたら、
(例)
普通預金 900 / 売掛金 1,000 ランサーズ
雑費 100
というふうに仕訳します。
アフィリエイトの記帳タイミング
アフィリエイトの記帳っていつしたらいいのかわからないですよね。
「バリューコマース 仕訳」を検索したら自分のサイトが上位に表示されて
「あんたわかってないじゃん」と突っ込みたくなりました。
バリューコマースの仕訳
通常の売上は1ヶ月に確定した分について、月末にまとめています。
キャンセルされることもよくあるので、
確定してからの仕訳で問題ないと思います。
売掛金 1,000 / 売上 1,000 といった具合です。
翌々月の15日にはその金額が振り込まれるので、
普通預金 1,000 / 売掛金 1,000 となります。
A8.netの仕訳
A8.netのややこしいところはキャリーオーバーがあるところです。
「振込額が確定したときに仕訳をすればいい」という説を見たのですが、
わたしは1年ぐらいキャリーオーバーしているので、
売り上げがなかったことになってしまいます。
そのためバリューコマース同様、毎月末に確定額で仕訳をしています。
振り込まれたときには
普通預金 970 / 売掛金 1,000
雑費 30
というように、振込手数料を雑費として処理します。
アフィリエイトの調整金額は?
A8.netやバリューコマースで特にややこしいのは調整金額の取扱いです。
注文成果とは別に、数ヶ月後になって突然キャンペーンの報酬が付与されます。
先人たちのサイトを検索してもよくわかりませんでした。
調整金額はレポート>振込レポートから確認できます。
調整金額は毎月振込日(15日)に更新されて、
成果確定レポートには載ってきません。
おそらく調整金額が決定した時点(毎月15日)で、
売上に計上したら良いのだと思います。
Amazonや楽天のポイント
Amazonアソシエイトや楽天アフィリエイトの報酬はポイントで付与されます。
わたしは確定した時点で事業主貸勘定に振り分けています。
事業主貸 500 / 売上 500
事業主貸にしたポイントは帳簿から外れるので、
ポイントを使ったときでも記帳する必要がなくなります。
アドセンス
アドセンスも月に1回、確定した金額を売上とします。
(例)
売掛金 1,000 / 売上 1,000 Googleアドセンス
見込み額より増えたり減ったりするので、
収益額が確定するまでわかりません。
だいたい毎月2日には前月の分が表示されます。
振り込まれたときに
普通預金 1,000 / 売掛金 1,000 と仕訳します。
不明点は専門家に相談
以上はあくまで個人の見解ですので、
心配な方は税務署に問い合わせてください。